競馬用語辞典

競馬用語辞典

アウトブリード

サラブレッドは全体的に近親交配をもとに作られてきた動物であるが、血統の5代前までに同一の祖先を持たないような配合をアウトブリードという。異系交配ともいう。目的としては、雑種強勢により、馬の生産力、活力、運動能力が増強されることを期待するもの。

あせと(汗取)り

馬の太目残りを解消するため、日が昇ってから馬に毛布をかけ、その上に鞍を置いて調教をすること。かく汗の量が増え、太目の解消に効果がある。また、騎手が減量するためにサウナ風呂(調教ルーム内にある)に入ること、という意味もある。

いわおち(岩陥)

ゲート内で立ちあがった時、あるいは開いた瞬間に前肢をあげて発走すること。スタートで後手を踏むわけで、不利となる。

インブリード

血統表で5代前までに同一の祖先を持っているような配合のこと。近親交配ともいう。サラブレッドの場合、好んで近親配合を行なう場合が多い。表記する場合は○○(馬名)の3×4などと表わし、数字は世代数を示す。ナスルーラの3×4、といえば3代目と4代目にナスルーラが入っていること、5×5×5といえば、5代目に3回入っていることを示す。共通祖先の望ましい形質を固定させることを目的としているが、逆に隠れていた不良形質が現れる危険性も高くなる。

うま(馬)っけ(気)

牡馬の発情のこと。馬っ気を出すと競走に集中力を欠き、能力を出し切れなくなることが多いと言われている。 うま(馬)なり

レースや調教で、追わない(鞭を使ったり手綱をしごいたりしない)で馬の走る気にまかせること。「持ったまま」ともいい、基本的には余力を十分残している状態をさす。

エヌ・ティー・アール・エー(NTRA)

The National Thoroughbred Racing Association(全国サラブレッド競馬協会)の略。NTRAは、北米の競馬場および競馬関係団体の任意加盟団体で、サラブレッド競馬のマーケティングおよびプロモーション活動を行う。2001年にブリーダーズカップ協会と業務提携し、競馬へのスポンサー企業の誘致やブリーダーズカップ競走の振興を行っている。現在は約50競馬場および19の場外施行公社および競馬関連団体が加盟する。

エビハラ(屈腱炎)

屈腱炎の俗称で単にエビと呼ばれることもある。前肢に多く発症する。肢勢、打撲、走行中に大きな負荷がかかることなどにより屈腱に刺激が加わると炎症を起こし、エビの腹のように腫〔は〕れるところからこの名がある。治療には、物理療法、装蹄療法が行なわれるが、完治しにくい病気であり、再発しやすい。

お(追)いうんどう(運動)

離乳した後の育成馬の運動のひとつ。馬場等で集団的に馬を追う運動をいう。広い放牧地を持つ外国と違い、日本では放牧地は狭く雨は多い、また、冬期に凍結、積雪の牧場が多いので必然的に放牧量が少なくなる。そこで放牧量を補うため、人工的な運動が必要となり、追い運動が行なわれている。

おてうま(手馬)

ある馬にひとりの騎手がずっと騎乗していてその馬の癖、性質等を熟知している場合、その馬をお手馬という。他の騎手からお手馬としている騎手に乗り替わると、全能力を発揮して好走することが多い。

かいこく(戒告)

レースやその前後の過程で、公正かつ安全な競馬に対する注意義務を怠った騎手または調教師に科せられる制裁のひとつ。

ガレる

疲労がつもって体重が減り、毛づやはさえず体調が低下している状態のこと。また何かの理由で飼葉〔かいば〕を食わなくなり、体が細くなったときに「体がガレている」といったように使う。

きざ(騎坐)

騎手が馬に跨った時の脚部のこと。騎座が安定すると騎手も安定する。

きせき(奇跡)のけつりょう(血量)

3代目と4代目に同一の祖先を持つと血量がその祖先の18.75%となるが、こうした馬が過去の名馬に不思議と多く、奇跡の血量とよばれている。昭和35年に無敗で皐月賞とダービーを制したコダマがブランドフォードの18.75%の血量であったことから、日本でもこの配合がもてはやされた。最近の例としては、トウショウボーイ、マックスビューティなどが挙げられる。もっともそうした馬が全て走るというわけではなく、走る馬に多く見られる、ということ。

グイッポ

馬の有害な癖の一つであるさく癖の俗称である。上歯を馬栓棒や壁板などにあて、それを支点にし、頸に力を入れ、空気を呑み込む癖をいう。退屈あるいは他馬のまねが原因であり、空気を呑み込むため風気疝になりやすい。軽度のうちは矯正できるが、習慣性となった場合は矯正は難しい。

クラシフィケーション

年度単位で発表される競走馬の「格付け」。競走馬のレーティングを年齢(2歳・3歳・4歳以上)や芝・ダートで区分し競走距離別に並べたもの。世界の競馬主要国と同じ基準で作成されているため、世代間のレベルの比較など日本馬だけでなく、その年の競馬主要国のダービー馬の比較のような国際間の比較が可能となっている。

けいがそくほ(繋駕速歩)

右前肢が出ると同時に、左後肢が出る歩法で行なわれる競馬で、4本の肢のうちどれかが地面についてないと失格となる。この点においては騎乗速歩と同じだが、騎乗速歩は人が馬に乗るのに対し、繋駕速歩は馬に乗らず繋駕車(車輪のついた駕籠)に乗って行なわれる。古代ローマで戦争に使われていた戦車にスタイルは似ている。中央競馬では昭和43年に廃止された。かつての競馬倶楽部「鳴尾速歩競馬会」は、この繋駕速歩を専門に行なっていた。

けばな(毛花)

めったに見られない毛先の現象で、毛にツヤがなく、立ってボサッとしているように見える。冬毛のことや、また手入れの悪いものをさして言う。実際に毛花が咲くと言われるのは、最高潮から下降線をたどるときに、上皮に疲れが出はじめ、毛の先端がブラシをかけても直らないことで、疲労の前兆によるところがある。

こうじょりつ(控除率)

勝馬投票券は、その売上額のうち約25%を引いた残り75%が払戻金として的中した人に配分される。この差し引かれる約25%を控除率という。控除率は、的中率が高ければ低くなり、的中率が低ければ高くなるため、「約25%の控除率」というのはこれらを平均したものとなる。控除されたうち10%が国庫に納付され、残りの15%がJRAの収入となって競走の賞金や運営などの費用に充てられる。

ころがし

勝馬投票券の買い方の一種。この買い方の特徴は、あるレースを的中させたら、その払戻金をそっくり次のレースにつぎこみ、さらに的中したら、次のレースに……というように雪だるまをころがすように増やしていく点である。したがって成功したら、大変な金額になるが、逆に1レースでも不的中だとすべてが無に帰してしまう。

サイドレーン

頭の高い馬を矯正する場合の調教補助具。単純な革ひもで、ハミ環と、腹帯をつなぐようにして使う。左右のハミ環から、馬の両側に一本ずつ装着して、調馬索調教時に使用する。制御性が強いため人馬転倒を起こさないよう使用には十分注意が必要である。

さめ(魚目)

馬の眼の虹彩は、普通は暗黒色であるが、虹彩の色素が少なく、外観からは黒目の部分が青色に見えるもの。視力には障害はないが、険悪な顔つきに見せるので好まれない。

しか(仕掛)ける

レース中、いよいよ勝負どころと判断した騎手が、馬に気合を入れてスパートすること。「仕掛けるのが早かった」などという。また調教では、馬なりでまわってきてゴール前で軽く気合をつけることを、仕掛けるという。

しゃたいほ(斜対歩)

ふつう、競走馬の速歩は、斜対歩といって左前-右後、右前-左後と対角線に結ばれた2本の肢がそれぞれ1組ずつ地面に着いたり、離れたりする歩法で歩く。

すえあし(末脚)

ゴール前での馬の伸び脚のこと。一般的にゴール前で鋭く伸びる馬を“末脚の切れる馬”その逆にゴール前での粘りに欠ける馬を“末脚が甘い馬”などという表現を用いる。

スパーピン

飛節内腫の俗称であり、飛節の前内側に骨瘤が発生する関節炎である。関節を構成する骨が完全に化骨していない若馬に無理な調教をさせると発症しやすい。古馬でも飛節の曲がった馬や歩行時に飛節を捻転する馬に発症することがある。

せったる

背中の線がたるんでいる馬のこと。軽度のものは能力には影響ない。競走馬にも稀にある。

せんもう(旋毛)

馬のつむじのこと。馬の被毛は直立して生えないで傾斜して生えるために、体表にいわゆる毛流ができて、その起始部や終止部がうず巻き状に巻き込んで、左回りまたは右回りに流れを作るか、また左と右、上と下など反対方向からきた毛流がぶつかり合って毛が立ってくるために生ずるものが旋毛である。できる場所によって呼び名が違う。  わが国では馬体各部の旋毛を個体鑑別に利用している。

そうなが(総流)し

連勝式勝馬投票券の買い方の一種。1レースに1頭の軸(3連複の場合は2頭の軸も可)とする馬を選び、その馬からすべての馬(もしくは枠)に流すやり方である。

ソコソコ

五分以上の勝負になりそうなとき使われる。その馬が勝つまではいかなくとも、見せ場をつくるぐらいに走れそうなとき「ソコソコの勝負はできる」などと使う。また、「アラアラの勝負」も同じ意味である。

ダークホース

本来は能力のよく分からない馬という意味から出ているが、あわよく勝てば好配当間違いなしという馬、つまり穴馬ということである。競馬用語でありながら現在は競馬場で使われるよりも、一般用語として(とくに選挙などで)よく使われている。

たた(叩)く

ふたつ意味があり、ひとつはレース中気合を入れるために馬にムチを入れること。もうひとつは休み明けにレースを使うときに使うが、この場合、仕上がり途上のときに用いることが多い。「休み明けを一度たたく」といったように使われる。

チークピーシーズ(Cheek Pieces)

フルネームでシープスキン・チークピーシーズと言います。頭絡の頬革にボア状のものを装着したもので、左右を見えにくくして前方に意識を集中させる効果を期待して用いられます。

ちゃくさ(着差)

先に入線した馬の鼻先(鼻端)と次に入線した馬の鼻先(鼻端)の間隔。ハナ、アタマ、クビ、それ以上は馬身を単位に表示するが、10馬身を超える場合は「大差」と表示する。

つよめ(強目)

実戦同様に仕掛け気味に調教する状態。

ツルくび(頸)

パドックなどで歩いているとき、長い頸をツルのように曲げている状態をいう。レースが間近に迫っていることを察知し、神経をたかぶらせている馬によく見かける。一見、気合に満ち溢れ、いかにも走りそうな印象を与えるが、競走能力とは関係はなく、馬の気性の現われとみるべきである。

ていさふらん(蹄叉腐爛)

蹄底の蹄叉の凹部につまった汚物が原因で蹄底が腐食し、悪臭をはなつ病気であり、重症になると跛行を呈する。原因は厩舎や放牧場の不潔、蹄の手入不足等であり、何よりも予防が肝心である。

てんじんの(天神乗)り

騎手の乗り方のひとつで、モンキー乗りと対比して呼ばれることが多い。アブミを長く持ち背筋を伸ばして馬の背と垂直にまたがった騎乗スタイルとなる。モンキー乗りは騎手の体重が馬の背の前方にかかるが、天神乗りは背中に直接かかるので、馬の負担が大きくスピードが出にくい。昭和33年に保田隆芳騎手がアメリカに遠征し、帰国してモンキー乗りを導入するまでは日本の競馬はこの天神乗りが主流を占めていた。

とくばら(特払)い

式別毎に勝馬投票の的中者がいない場合には、競馬法第8条の規定により、その式別に投票した購入者全員に対して、特払いとして100円につき70円の払い戻しを行うことをいう。なお戦前、払い戻しが最高200円に制限されていた当時、余分の配当金を不的中馬券に対して分配したが、これを特別配当(特配)といった。

トラックマン

美浦・栗東の両トレーニング・センターで、取材をしている競馬予想専門紙の記者のこと。その仕事の内容としては、早朝より、調教スタンドから追い切りを見て調教タイムを計測したり、その調教内容を伝える「取材班」と、関係者のコメントを得るためにきゅう舎を駆け回り、その週の出走予定馬の調子を取材したりする「想定班」の2つに分けられる。早朝勤務で、且つ競馬開催に伴う出張が多く、多忙な毎日を送っている。

なまり(鉛)

負担重量調整のため鉛板を使用する。鉛板は100グラムから500グラムまで5種類あり、100グラムを一分〔いちぶ〕と呼んでいる。通常、鉛鞍と呼ばれる鉛を入れる仕様の鞍に、鉛板を入れて負担重量を調整している。まれに胴巻に入れて自己の胴に固定する騎手もいる。競馬場では鉛以外に500グラム単位で負担重量調整用のゴムパッドを準備しており、これを使用して負担重量を調整する騎手もいる。

常歩(なみあし)

速度は普通1分間に110メートル位で、これは時速6.6kmにあたる。 人間の通常の歩く速度は時速4kmだから、人間よりかなり速いことがわかる。活発に歩かせなければ、これよりずっと遅く歩くが、活発に歩かせないと本来の正しい動きをしない。 四肢の動く順は(1)右後肢 (2)右前肢 (3)左後肢 (4)左前肢の4ビートで、頭、頸を左右、上下に大きく動かして歩き、騎手の腰は前後に揺れ動くが、上下動の反撞はない。 馬は基本的には常歩、速歩、駈歩、襲歩などの歩法で移動するが、これらの歩法のうち常歩は最も速度が遅い。肢の着地順は右後肢→右前肢→左後肢→左前肢と続いていく。

にほんきしゅ(日本騎手)クラブ

日本中央競馬会より騎手免許を交付されている騎手の組織で、関東と関西の両支部に分かれる。役員任期は2年で、理事の互選により会長・副会長・支部長を選出する。騎手の福祉の増進をはかるため必要な共済制度等の他ボランティアやチャリティーを行っている。

ニューポリトラックばば(馬場)

電線被覆材、ポリエステル不織布、ポリウレタン繊維、硅砂、ワックス等を混合した物。優れた排水性を持ち、降雨による馬場の悪化や走行時のキックバックが少ない。またクッション性に優れ、且つグリップ力があるため滑りにくく、均一性の高い安定した馬場である。凍結抵抗性が高いので、冬季は不凍剤散布の必要がなく、 粘着性も強く、散水作業も不要であり、乾燥時でも埃が少ないというメリットがある。「オールウェザー」、「全天候馬場」とも呼ばれている。

ね(寝)ちがい

寝起きの際に発症する事故を総称したもので、いわゆる「病気」とは異なる。寝ワラのかたまった場所や馬房壁の近くで寝た場合、不自然な姿勢となるが、この状態から無理に起きようとすると、関節や筋肉に故障を起こしやすく、また、外傷を負うこともある。これを寝ちがい(寝そこない)という。

ねんどだいひょうば(年度代表馬)

当該年度の中央競馬を代表する競走馬のこと。報道関係者の投票結果に基づき、新聞・放送・競馬専門紙の代表者で構成される「JRA賞受賞馬選考委員会」において審議のうえ、JRA賞競走馬各部門賞(最優秀2歳牡馬,最優秀2歳牝馬,最優秀3歳牡馬,最優秀3歳牝馬,最優秀4歳以上牡馬,最優秀4歳以上牝馬,最優秀父内国産馬,最優秀短距離馬,最優秀ダートホース,最優秀障害馬)の中から選出され、翌年1月に行われるJRA賞授賞式において表彰される。なお、昭和61年までは月刊誌「優駿」の主催で行われ、昭和62年以降はJRAの主催で行っている。 ノミや(屋)

私設馬券屋のこと。競馬法では、勝馬投票類似の行為をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処せられる。ファンもこれを利用した者は罰せられるので、注意しなければならない。

の(乗)りうんどう(運動)

同じトレーニングでも、馬場内で行なう調教とは違い、厩舎の周りを厩務員が乗り、馬を歩かせて行なうトレーニングである。毎日乗り運動して十分に体をほぐした後に、馬場内の調教に移る。

は(歯)がわり

馬の歯が抜け替わること。早熟なものは2歳の暮れごろから始まるが、大部分は3歳の春先に始まる。人間の場合と同じで、痛みのため食欲がなくなり、体調も下降気味になりがちになるので、クラシックシーズンの勝負のポイントになることさえある。

バンデージ

ハンデキャップ競走で各馬が負担する重量をいう。これは3人のハンデキャッパーが、各馬に等しく勝機を与えようと決定するもので、競走成績や最近の調子などを資料とし、馬の能力に応じ重量を増減させる。

ヒモ

連対馬のこと。以前は、頭(1着馬)が堅いと思われるレースで、その本命馬の2着に入ると思われる馬のことをいった。

ひらば(平場)

一般条件戦など、特別競走以外のレースをいう。また一般競走ともいう。

ファミリーテーブル

サラブレッドの血統をその牝系統別にまとめ、成績、生年等を付記し根幹馬までたどったもの。よく知られているものに、1953年に英国で刊行されたボビンスキとザモイスキの共編による『競走馬ファミリーテーブル』がある。  現在その版権を譲り受け、第3版、第4版(2002年までの成績)が日本で出版されている。

ブルーグラス

馬が特に好む牧草。大きくならず、土地を退化させないので放牧地用草種として最適だが、日本ではまだ充分に普及していない。同じタイプのヨーロッパ種もある。

べっていじゅうりょう(別定重量)

基礎重量を定めて、これに過去の収得賞金額、勝利度数または特定の競走の勝利等によって加増する方法で、重賞競走、特別競走、条件競走などに用いられている。またダービーなどの競走においては、馬の年齢または性により、出走馬の全馬に一定の重量を定めており、別定重量のうち特に「定量」と呼んでいる。

へんかんきん(返還金)

勝馬投票券が発売された後、競走から除外された馬があった場合、その馬もしくはその馬(枠)の組み合わせの投票券の全てが同額で投票者に返還金として返される。但し枠連の場合は、同枠にまだ馬がいてかつ同一の番号を1組とした枠(ゾロ目)が存在する場合は返還されない。

ぼうしょく(帽色)

騎手がレースの際かぶるヘルメットの色のこと。それぞれ1枠=白、2枠=黒、3枠=赤、4枠=青、5枠=黄、6枠=緑、7枠=橙、8枠=桃と決められている。

ほよう(歩様)

馬の歩き方のこと。後肢の踏み込みの強さや前肢の出方のスムーズさなどの、全体的な感じをいう。馬により個体差はあるが、どこかに故障や疾患を持つ馬は、歩様に乱れが出る場合が多い。

マイラー

1マイル(1600メートル)前後の距離の競走を得意とする馬のことをいう。

マルタンガール

マルタンガールは、頭を上げすぎる馬に使用する調教付属馬具。目的に応じてスタンディング、ランニング、アイリッシュ、ビッブのそれぞれマルタンガールがある。

みちわる(道悪)

馬場状態の表示には良、稍重、重、不良の4段階があるが、重以上の状態をひと口で「みちわる」という。道悪の上手、下手で人気が大きく変わる場合がある。

ミドルディスタンスホース

中距離(2000メートル前後)の競走を得意とする馬のこと。距離に対する融通性は、マイラー、ステイヤーと比べると高い。

むじるし(無印)

一般スポーツ紙や競馬専門紙等で、各社ともほとんど人気の印をついていない、ノーマークの馬のこと。

むな(胸)がい

鞍の位置が変わらないようにするために用いる補助具。革紐等で胸前から鞍に連結させて鞍ずれ防止を目的に使用する。負担重量に含まれない。ちなみに同じ補助具の’しりがい’も負担重量に含まれない。

めんきょ(免許)

日本中央競馬会が調教師、騎手に対して行う免許のこと。この免許を受けた調教師又は騎手でなければ、中央競馬の競走のために馬を調教し、又は騎乗することができない。免許は免許試験に合格した者に対し行われることとなっている。免許の有効期限は1年であり、免許を受けようとする者は、年1回試験を受けなければならない。ただし、外国の調教師又は騎手に対しては臨時に試験を行うことがあり、試験に合格した者は有効期限3ヶ月以内の免許を受けることとなる(国際交流競走、短期免許等)。なお、地方競馬の調教師又は騎手が中央競馬指定交流競走に参加する場合は試験を免除され、当該交流競走に限り効力を有する免許を受けている。

メンコ

馬の覆面のこと。一般に耳おおいがついたものを使い、音に驚いたり、砂をかぶるのを嫌がる馬に使う。

もちこみば(持込馬)

牝馬を輸入するとき、すでに受胎しており、日本に来てから生まれた馬のこと。以前は外国産馬と同様、いろいろ制限を受けていたが、現在は内国産馬扱いになった。

モンキーの(乗)り

鐙〔あぶみ〕を短くして、膝を前に出し、尻を鞍から離し、前傾姿勢で追う騎乗フォーム。木の枝にモンキー(猿)がまたがったように見えるところからこう呼ばれる。1890年代にアメリカのトッド・スローン騎手が考案したものだが、日本で一般化したのは戦後になってからである。それまでは「天神乗り」(長い鐙で尻を鞍につけて上体を起こす乗り方)が主流だった。

や(焼)く

焼烙(しょうらく)療法のことで、慢性の腱炎、腱鞘炎、飛節内腫、骨瘤、関節炎などの治療に主に利用される。馬の体表に火熱を応用して急性充血を起こさせ、その刺激、消炎作用などにより治療効果を期待する。患部によって白金製の、数種の形の先端を取り替え、電気によって熱したものを、主に点状に一定の間隔をおいてあてて、真皮膚を突き抜けないように焼く療法で、3日から1週間の間隔をおいて、5、6回実施される。

やね(屋根)

騎手のことをいう。別称に鞍上(あんじょう)、乗り役というのもある。

ゆしゅつにゅう(輸出入)けんえき(検疫)

家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)に定められた「輸出入検疫」については、馬の場合、基本的には輸出の時5日間、輸入時10日間のけい留検査が実施されている。その他、輸出国において存在している病気の侵入を予防するために、ワクチン接種や特殊な検査を輸出国に対して義務づける場合もある。  ジャパンカップ競走等の国際招待競走に出走するために一時的に入国する外国馬については、競馬学校内にある国際厩舎地区が、農林水産大臣より検査場所として指定を受けたうえで、けい留検疫の施設として使用されている。 この場合には、輸入検疫期間は5日間に短縮される。

ゆるむ

「脚元に熱があったので休ませたら、ゆるんだ」などという。病気などで調教を休み、馬体の調子が下がっていること。馬が不調におちいったときなど、調教を休み、休養をあたえることを「ゆるめる」という。

よびうま(呼馬)

サラブレッドの自由購買馬のこと。戦前、「抽せん馬」にたいして使われた言葉で、現在では使われない。戦前のサラブレッドは「抽せん馬」が主流をなし、自由購買馬すなわち「呼馬」はごく少数だった。「呼馬」限定のレースが当時は行われていたが、出走馬はみな格の高いオープン馬であった。

よれる

直線で急激に内または外に斜行すること。「ささる」、「ふくれる」はどちらかというと気性的問題とされているのに対し、「よれる」という言葉は、一杯になって脚どりがしっかりしなくなった時に使われる場合が多い。

らくてつ(落鉄)

蹄鉄が外れ落ちること。

ラップタイム

200メートルごとに計測する、スタートからその地点までの所要タイムのこと。「はじめの5ハロン62秒1」といえばスタートから1000メートル地点を通過するまでに62秒1かかったということ。基準となるのはその地点で先頭の馬だから、たとえば1着馬の走破タイムは、ハロンタイムの積み重ねだと思えばよい。

リップネット

馬の鼻先にネット上のものを装着することで意識を集中させ、周囲からの影響を減少させることを期待して用いられます。鼻端が隠れてしまうため、到達順位の判定に支障をきたすおそれがあるなどの理由から、JRAでは競走中の使用は認められていません。手作りのため、様々な形状があります。

僚馬(りょうば)

同じ厩舎に所属する馬のこと。英語では、ステイブルメイト(stablemate)という。

レーティング

競走馬の能力を指数評価する国際統一基準で、単位はポンド。日本では、重賞競走とオープン競走に出走した全ての競走馬に付与される。通称「SMILE」(スマイル)と呼ばれる競走距離を示す記号とセットになっており、その距離区分の競走で獲得した数値であることを示す。

れってい(裂蹄)

蹄病の一種で、蹄壁が割れ亀裂が入ったものをいう。冬期の乾燥時に発症しやすいので常日頃から、蹄油をぬるなどの予防策がとられている。一旦発症すれば 悪化防止のためそれぞれに合った装蹄療法を行ない、蹄質を高める塗布剤を塗り、また、内科療法を併せて施すこともある。重症の場合は、蹄が伸びるまで休養 を余儀なくされることも多い。(参考・蹄は一ヶ月に8~10ミリしか伸びない。)

わくじゅん(枠順)

若手騎手は、騎手免許取得後7年未満の者で勝利度数が100回以下の騎手としている。この場合の勝利度数は、見習騎手の項に記載されているものと同様。

わの(輪乗)り

ゲートの後方に集合した各馬が、枠入りの合図がかかるまで輪を描くように歩きながら待機すること。

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